鴫

鴫誌(令和6年9月号)より

代表近詠 名誉代表近詠 当月集より 寒麦集より 羽音抄

シテのやう
加藤峰子
雨上がる夏蝶シテのやうに出づ
卯の花散る地に骨粉を置くごとし
再生の蜘蛛の囲さらに緻密なり
蜜吸うてより夏蝶の傾ぎ癖
図書室に少女の寝息緑さす
「子燕に注意」老舗の逆さ傘
チェンソーの唸りを握る麦わら帽
流木に亀の連なる夏至の池
除草剤ばらばらと撒き歯科通ひ
軽装で集ふ盛夏の祝卒寿


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