鴫

鴫誌(令和5年6月号)より

代表近詠 名誉代表近詠 当月集より 寒麦集より 羽音抄

ゆるぎなき平和頼みの下萌ゆる
山ア靖子
ミシン目に羽毛生まるる猫の恋
荒井和昭
木の芽風自転車断ちをいたしけり
田村園子
祝福も冥福もまた二月尽
荒木 甫
うららかや朱に着替へたる六地蔵
石田きよし
鳥声のしきり山家の春炬燵
成田美代
嘴跡の黒ずみ深く紅椿
山口ひろよ
余生にも欲しきときめき雛飾る
中山皓雪
春の野を見渡す川の一里塚
箕輪カオル
たんぽぽをよけてライトの守備につく
平野みち代
紙飛行機着陸したり薄氷
甕 秀麿
軍場のやうに紅白の落椿
宇都宮敦子
啓蟄やごたごた詰まる道具箱
坂場章子
三・一一機上よりただ光る海
和田紀夫
さへづりを満身に浴ぶ並木かな
鎌田光恵
啓蟄や老いの五感のむず痒し
原田達夫
下駄履きのころの東京春の泥
松林依子
桜の芽とがりて放つ光かな
山内洋光
蜃気楼乾菓子のやうにふやけたり
奥井あき
震災に痩せたる村や下萌す
三木千代
啓蟄の蜥蜴に聞かすJホップ
笠井敦子
湯たんぽの湯を洗顔の姑へかな
田部井幸枝



バックナンバーへ

▲このページの先頭へ
旧字体等で表記できない文字は書き換えています
Copyright(c)2011, 鴫俳句会.All rights reserved