代表近詠
秋を浮遊
加藤峰子
抽斗の繭のその後や白潮忌
潮騒の届く花野のにぎり飯
聳え立つクレーン海猫のよく鳴けり
お台場の秋を浮遊のりんかい線
餌捜す眼の青む鬼やんま
青野とぞ市庁舎北の傾斜屋根
八月の背もたれ深き映画館
朝刊取るついでの本気草むしり
病む叔母の新米眩しと涙ぐむ
ラジオ体操金魚は急にそはそはす
名誉代表近詠
石涼し
橋道子
凸凹の影を平らに石涼し
片蔭にスマホの人の別世界
備蓄米ためしに買ふも夏の果
秋雲や減りし一つに際物屋
秋口のポストがふうと溜息を
針箱の乱れをなほす木歩の忌
噛み堪へある句に耽る夜の秋
当月集より
寒麦集より
羽音抄