代表近詠
天守の鯱
加藤峰子
夏蝶の水面映りを離れざる
川渡す真中の勇む鯉のぼり
ここも空き家赤い息吐くつつじ垣
夏の蝶ト音記号のやう舞へり
ゴールデンウィーク女易者の生あくび
万緑や天守の鯱のどんぐり目
いくたびも羽ばたき重ぬ巣立鳥
竹やぶの相打つ風やほととぎす
掌に乗せる生まれたてなる天道虫
玄関に椅子置く店の夏料理
名誉代表近詠
裏道
橋道子
噎するまで定家葛の花の密
在五忌の雨意の川すぢ灯のならぶ
見落とすほど小さきコンビニ梅雨晴間
裏道に裏の風あり月見草
ほんたうの仕舞屋に遭ふ花南天
梅雨深し降車の一歩息詰めて
力湧く夏大根の辛さかな
当月集より
寒麦集より
羽音抄