代表近詠
身の芯
加藤峰子
街灯下ことに忙しき雪となる
身の芯を研がるるごとく寒嵐
寒明や屋根の棟梁声を張る
青空に宿り木もこと春立てり
たぶの樹の瘤に芽吹きのうす緑
牡丹の芽甘雨に赤を濃くしたり
翔ちてまた古墳に遊ぶ恋雀
浮世絵の後れ毛緻密冴返る
笹鳴きを彼の世の人へラインかな
虚子邸を探すことより木の芽垣
名誉代表近詠
喝采
橋道子
総立ちの喝采のやうシクラメン
茅屋に新たな手摺鳥の恋
木の箱の金のカステラ春浅し
ヒヤシンス色褪せぬ間の申告書
しよつてるねと母の笑ひし春炬燵
鉢に買ふさくら莟は十あまり
水苔の球に育ちてわが桜
当月集より
寒麦集より
羽音抄