代表近詠
色を探しに
加藤峰子
かげろふをふはりと纏ひ太極拳
花種まくシャベルの錆を土に研ぎ
手を打てば男波立てくる春の鯉
縦横に駆け春光のドッグラン
吾になき色を探しに初桜
過去ひとつゆさぶるやうに春一番
痛哭の世独活の手ごはきあく晒す
替芯の減りの速さよミモザ咲く
面会待つ白寿の母へ春帽子
あつぱれの空山吹色の春ふとん
名誉代表近詠
坂
橋道子
草青む赤子げたげた笑はせて
書棚の書右傾左傾や春の燭
天辺へ坂の三本花曇
立像は振り向かずして春怒濤
ぎくしやくと深まる仲よ竹の秋
苦爪とも思はぬ爪を切る春夜
逃水を追ふかに平和ひた祈る
当月集より
寒麦集より
羽音抄