代表近詠
あふぐたび
加藤峰子
万緑を揺する父子のトランペット
あふぐたび達磨絵ころぶ秋扇
縄電車こぐやうに入る茅の輪かな
はみ出して厭はぬ二人白傘
炎天を蹴つて倒してハードル走
蒲焼の串に火のつく土用入
今日やると決め暁の草むしり
棚経の僧侶は羽をまとひ来る
二度三度捨身の態の黄金虫
茅の輪潜り飛行士の夢語りたる
名誉代表近詠
新豆腐
橋道子
あたためていよいよ涼し旧交は
地より湧く都会の音よ水中花
みんみん未来かなかなは過去引き寄すよ
コスモスやだれかぼくのこと追ひかけて
たまらなく家欲しきころ鳳仙花
わるいことばかりぢやないと新豆腐
胸寄せてペンギン睦む野分雲
当月集より
寒麦集より
羽音抄