バックナンバー（鴫誌より）
令和２年３月号より
代表近詠
寒麦集より
羽音抄
冬北斗
髙橋道子
湯冷めしつ繕ふ明日の旅衣
凪ぎわたる湖が足もと冬はじめ
頤を寒気に浮かせ虎泳ぐ
白山茶花しくしく夜を呼び出す
高き背をもてあましぎみ黒マスク
鮟鱇鍋おだてに乗るは楽しけれ
聖菓分け街の狭間の保育園
クリスマス達郎の曲とことはに
焦らぬと決むるもひとつ年用意
朗報のしづかに入る冬北斗
当月集より凪ぎわたる湖が足もと冬はじめ
頤を寒気に浮かせ虎泳ぐ
白山茶花しくしく夜を呼び出す
高き背をもてあましぎみ黒マスク
鮟鱇鍋おだてに乗るは楽しけれ
聖菓分け街の狭間の保育園
クリスマス達郎の曲とことはに
焦らぬと決むるもひとつ年用意
朗報のしづかに入る冬北斗
公民館に異国語ひびく十二月
山﨑靖子
極めたる枯を称ふる夕日かな
荒井和昭
てのひらになぞる燦の字冬紅葉
田村園子
半島に潮風眩し懸大根
髙田令子
冬雀群る風になり点になり
加藤峰子
そこはかと木枯一号待つ心地
相良牧人
キャンパスの炎立ちたる銀杏黄葉
荒木 甫
枯桜死に神とするかくれんぼ
石田きよし
鳥兜の実の罪なき艶を愛すべし
成田美代
木守柿他人のはなしに耳聡く
山口ひろよ
黙想と無心仏心日向ぼこ
中山皓雪
宝くじ買うていよいよ隙間風
箕輪カオル
夢語る子を傍らに毛糸編む
平野みち代
紙懐炉しわくちやにして渡さるる
甕 秀麿
眼科医の待合室に雪女郎
宇都宮敦子
千体の水子の地蔵冬の菊
山本無蓋
頭を回し役者のやうに枯蟷螂
坂場章子
浜糶の開始のベルや息白し
和田紀夫
波に浮き波に潜きて百合鷗
鎌田光恵
思ひ出深きものより捨てる十二月
田原陽子
緩やかな雲より朝日師走入
数長藤代
冬めくやゴリラ菰かけ科つくる
原田達夫
木の蜜柑大方残す景として
笠井敦子
朝刊を見て十二月と気付くかな
田部井幸枝
寒麦集より
氷下魚食む北の大地の地下酒場
藤沢秀永
戦争を若きに伝ふ十二月
宮﨑髙根
浮き落葉ぬらりと寄り来鯉の口
松林依子
年用意皇居勤労奉仕団
西嶋久美子
前掛けを外せば遥か除夜の鐘
佐藤晶子
新巻の箱俎板にして捌く
五十嵐紀子
簡素とふ日々を生きたし冬の川
みたにきみ
呼応せる句座や師走のワンチーム
来海雅子
日記買ふ未知なる吾に会ひたくて
加藤東風
傷跡の癒えないままに山眠る
西村将昭
羽音抄
石棺と言はれてさうか冬ぬくし
相良牧人
閉門の乳鋲の錆びや笹子鳴く
加藤峰子
一刷毛の日に初霜の潤みたり
原田達夫
眠る山より人の声水のこゑ
箕輪カオル
笹鳴の去りし雨粒ゆれにけり
鎌田光恵
母のマフラー我に戻りて風の中
小宮智美
さしあたり煤逃げ行きのバスに乗る
平野みち代
癖のある年寄となり山鯨
石田きよし
しりとりに向かぬ人参洗ひをり
髙田令子
アフガンの中村哲さん冬たんぽぽ
荒木 甫
冬りんご逸れて楽しくなる話
坂場章子
去年今年群衆といふのつぺらぼう
山本無蓋
冬薔薇少し頭痛のその深紅
奥井あき
花ひひらぎ香りに棘の無かりけり
山本久江
些事に異を唱へて侘びし落葉まふ
島田喜郎
山房や硝子戸に添ふ石蕗の花
藤沢秀永
極月の豚汁サービス道の駅
西嶋久美子
争ひに遠く離れて花八手
森 しげる
行く雲の戻ることなく山眠る
佐藤晶子
新聞に温みの残る今朝の冬
奥田とき江
旧字体等で表記できない文字は書き換えています
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