鴫

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平成30年9月号より
代表近詠
浦島ごころ
橋道子
外房吟行六句
波座のくづれ涼しや吾も乗らむ
乗組員募集看板花とべら
夏怒濤句碑に師の文字声もあり
ほととぎす棚田の千の明るさに
半島の先ふくらます椎若葉
旅果ての浦島ごころ冷奴
梅雨晴間ざふきんといふ優れもの
夏の星遠近消去されしまま
若竹や武家の町とは坂の町
風青し史話悲話よぎる釘隠
当月集より

太平洋に哂し来し髪洗ひけり
山ア靖子
女貞花の影確と置き濁り川
荒井和昭
万緑や隻眼のごと蔵に窓
田村園子
白タイル涼し伊太利亜レストラン
田令子
八重十薬増やして終の住処とす
加藤峰子
郭公の待ち受くるかに帰郷せり
相良牧人
かはほりやアンクルトリスのハイボール
荒木 甫
江戸城に打たれし反りや新樹光
石田きよし
水には水の風には風の薄暑光
成田美代
六月の波に被さる風の音
山口ひろよ
螢狩り子のある人と無き人と
中山皓雪
フェリーから降りてこれよりサングラス
箕輪カオル
卯浪立つ灯台の空けぶらして
平野みち代
園児らを乗せゆくバス停花柘榴
甕 秀麿
玻璃に映り青き芭蕉の玉を解く
宇都宮敦子
雨宿る山門の下蟻地獄
山本無蓋
青葉冷えまづ寸鉄のコラムより
坂場章子
灯に濡れつ房州の枇杷道の駅
田原陽子
青山中古城のやうな発電所
数長藤代
引き波に砂を捲き込み太宰の忌
原田達夫
住み古りて四十年の額の花
笠井敦子
近道の夏桑に顔打たれつつ
田部井幸枝
短夜の一週分のくすり箱
齋藤厚子

寒麦集より

滾滾と湧き水あふる苔の花
堀岡せつこ
やませ吹く田翁爪の伸びしまま
立花光夫
衰へし味覚の欲す水やうかん
宮ア根
立読みの本を買ふなり夕立晴
塙 貞子
目高飼ふひと日盥の仮住ひ
齊藤哲子
蝦墓出でて黙に構へし翁振り
中島芳郎
枇杷の実や薄紙に透く明るさは
五十嵐紀子
風薫る波うつ玻璃戸細る枠
来海雅子
長考の果ての駒音涼しけれ
木澤惠司
水嵩の計測杭や通し鴨
足立良雄

羽音抄

物なべて闇より生まる螢の火
中島芳郎
あめんぼの水一枚の浮世かな
荒木 甫
染む翁紡ぐ嫗ら仏桑花
松林依子
偶数は平和な数字メロン切る
濱上こういち
沢蟹や石に流れの盛りあがる
鎌田光恵
孤独てふ名の焼酎を水で割る
足立良雄
花柘榴薄日の空に色を差す
来海雅子
安堵する病なりけり水中花
齊藤哲子
螢籠好きさうな草入れてやろ
山口ひろよ
口ごもるやうなせせらぎ濃紫陽花
加藤峰子
風鈴の睦言めける垣根越し
石田きよし
緑陰を出る結論の出たやうに
山本無蓋
麦秋や新婚旅行の地を通過
甕 秀麿
梅雨曇り麻酔の残る妻の笑み
島田喜郎
梅雨入り空引き裂きもぐりヘリコプター
田中涼平
サングラスシャツにひつかけ将棋さす
立花光夫
一芸の不登校生夏あざみ
左京信雄
目高の子すでに持ちたる目の光
小林喜美枝
梅雨寒や夫どこまでも軽い声
森 聖子
ところてん通す強がり空元気
加藤東風


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