鴫

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平成30年4月号より
代表近詠
ささやき
橋道子
除夜の鐘とどく星かず屋根の数
読初の一句に襟を正しけり
バス停でのみ会ふ人と御慶かな
花柄の 終末 エンディング ノート買初に
袖山をつまんでたたむ春着かな
花梨酒のむらさき透くる女正月
同音に冬菜の高値言ひ合へり
雪吊の縄からうじての平等
手の癖に石鹸の痩せ春立てり
囁きはささやきを呼び芽吹山
当月集より

喉病みの癒えぬままなり初明り
山ア靖子
雪晴のパラレルシュプール交差せり
荒井和昭
さくさくとかの日へ戻る落葉道
田村園子
北行きの朝の列車に冬日差す
田令子
この寒さ一人芝居のやうに言ふ
加藤峰子
大独楽のひと笑ひして止りけり
相良牧人
観音の光背のごと初筑波
荒木 甫
旅せはし鳰と車窓の別れかな
石田きよし
露天湯の雪積む岩になほも雪
成田美代
腕時計卓に眠らせ薬喰
山口ひろよ
夫見舞ふだけの元日暮れにけり
中山皓雪
冬苺の寄り添うてゐる端山かな
箕輪カオル
ふろふきや言うて笑うて一人なり
平野みち代
火熾してよりの人類初明り
甕 秀麿
露凝るや龍太手製の竹箒
宇都宮敦子
熱燗や人と逢ふためはしごせり
山本無蓋
冬の日の巡りへ鉢の花移す
坂場章子
来る年へ幸疑はず絵松貼る
田原陽子
襖張り替へいますこし生くつもり
数長藤代
パンダ賑賑動物園の枯れすすむ
原田達夫
歳晩のラップの端が見つがらぬ
笠井敦子
数へ日の汚れを紙に指の腹
田部井幸枝
ももいろの石鹸のあわ大旦
齋藤厚子

寒麦集より

鏡割真空パックを破りけり
足立良雄
寺町や葉牡丹並ぶ犬走り
藤沢秀永
嫁してより菜ひと色の雑煮かな
松林依子
雪原の硝子工房灯の点り
三木千代
外套を着れば結論すぐに出づ
濱上こういち
不自由を越ゆる智恵ありすきま風
宮ア根
宝くじ財布に収め牡蠣フライ
立花光夫
あかぎれを見せ合うてより親しみぬ
中下澄江
一先づの夫息災と初日記
山内洋光
独り居の年酒の相手仕る
西村とうじ

羽音抄

冷たさの固まつてゐる洋書棚
田令子
御慶にも濃淡のあり茜雲
中山皓雪
山眠る胎蔵界を内に秘め
相良牧人
寒林を抜けてかがやく腕時計
成田美代
細波は川面の笑まひもぐりつちよ
山本久江
初鏡なによりも吾に負けぬこと
山口ひろよ
生き返る力残して川涸るる
甕 秀麿
団子屋の朝の音なり寒の水
宮ア根
人の名はなべてイニシャル初日記
藤沢秀永
風紋に鳥の足跡冬の浜
西村将昭
連れ合ひと脚を分けあふ松葉蟹
荒木 甫
寒晴の潜むものをるやうな青
坂場章子
寒林の夕日散り行く船着き場
伍島 繁
着ぶくれて一日まへのことを書く
齋藤厚子
鰭酒のひれ焼く手間のひと呼吸
来海雅子
初凪や太平洋の照り返し
橋信一
洋服の釦掛けつつ御慶かな
和田紀夫
不文律三日の夕のライスカレー
西村とうじ
初仕事片脚立ちに靴下履く
村上禮三
新暦書きし予定に縛られる
みたにきみ


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