鴫

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平成26年1月号より
代表近詠
冬の雨
井上信子
仙蓼や遠出つつしみ居たりけり
くつろぎてをり小禽の十二月
小鳥今朝いよいよ丸し寒がりぬ
何してもひとり一椀の茶雑炊
十二月八日少女でありし直かりし
冬薔薇どこか堪へてをりにけり
漱石忌いよいよ象牙光りせる
長生きのをかしさに居り冬の雨
当月集より

吹割りの滝見に下りる冬紅葉
中江月鈴子
柿熟れて野川の月日つなぎをり
山ア靖子
天球をなぞるとばかり秋の虹
橋道子
明日へ捲く目覚時計十三夜
中村恭子
鯊釣の片天秤の錘かな
荒井和昭
書き出しの一画は横捨て扇
風間史子
鶏頭の茎頑強にしていびつ
田村園子
渡り鳥波の筋目に立ち寄りす
小林正史
十月一日山積みの契約書
田令子
秋の日の構内ペダル軽やかに
加藤峰子
種を採る明日のことは考へず
相良牧人
橋渡るまた金木犀金木犀
荒木 甫
秋の蜂生きいきとして黄泉路なり
石田きよし
澄む水のかがよふ音を纏ひたく
成田美代
秋暑し立つも坐るも声揚げる
田原陽子
文化祭男点前のよかりけり
数長藤代
秋うらら山門一人ひとり立つ
中山皓雪
天一碧介護施設にコスモス揺れ
折橋綾子
ホールインワンの話飛び交ふ夜長かな
椿 和枝
豊秋や二石九斗の桶の箍
佐藤山人
木犀のこぽれて径の絶たれけり
原田達夫
若冲展より人吐き出さる秋天へ
笠井敦子
風狂の俳人の群れ芒原
山本無蓋

寒麦集より

卓に置く毬栗の篭モカ香る
藤沢秀永
菊枕色のいろいろ香にまざる
遠山みち子
秋蝉のはたと絶えたる日なりけり
森田尚宏
半島もドレスアップし山紅葉
濱上こういち
改修の駅舎に迷ふそぞろ寒
坂場章子
周航の島影あたり薄紅葉
村上禮三
約束を果たせしやうに木の実降る
箕輪カオル
団栗のここだく落ちし磴の上
堀岡せつこ
タイマーの厨にひびく寒露かな
山□ひろよ
みな同じものを食して天高し
齋藤厚子

羽音抄

菊芋の花抜け道を抜け過ぎて
奥井あき
心配のしがらみをとる数珠子とる
箕輪カオル
ばつたんこ一引く一を答へけり
甕 秀麿
木の実降る後ろ姿のぐりとぐら
坂場章子
紫蘇の実の鈴鳴らす風ありにけり
山本久江
手紙にも訛りのありて衣被
中山皓雪
秋澄むや奥遠く見ゆ槍ヶ岳
森田尚宏
羽根休めゐるかに小舟秋うらら
来海雅子
撒くときは見当たらぬ種採りにけり
山本無蓋
ばば様は三十六計冬用意
宮ア根
黷ノも秋疲れある雨催ひ
田令子
秋灯やほつと生まるる物の影
中島芳郎
色鳥や人には淡く繕ひし
齊藤哲子
毒味する女町長芋煮会
藤沢秀永
朝露に深く溺れて蝶のあり
原田達夫
半島の大地に稲を干す夫婦
濱上こういち
長き夜インク補充に手こずりぬ
久米なるを
温め酒ちりぬるをわが酔ひもせず
鈴木征四
どこからも目立つ黄色の鳥威し
天野正子
どんぐりや有耶無耶といふ着地点
松本千花


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