バックナンバー（鴫誌より）
令和６年７月号より
代表近詠
寒麦集より
羽音抄
一閃の
加藤峰子
一閃のかはせみ瑠璃の色残す
黄砂降る目を剝く寺の仁王像
つがひらし水面滑りを残る鴨<
いかなご煮志功絵柄の包装紙
講評を言ひ交はしては桜餅
開始まで暗譜の歩幅花ふぶき
叔母の手を握る見舞やつつじ咲く
花時の天守の鯱を大樹越し
路線バス座席に拾ふ花の屑
荷風忌や切手の傾ぐ封書受く
名誉代表近詠
黄砂降る目を剝く寺の仁王像
つがひらし水面滑りを残る鴨<
いかなご煮志功絵柄の包装紙
講評を言ひ交はしては桜餅
開始まで暗譜の歩幅花ふぶき
叔母の手を握る見舞やつつじ咲く
花時の天守の鯱を大樹越し
路線バス座席に拾ふ花の屑
荷風忌や切手の傾ぐ封書受く
春の星
髙橋道子
傘さして閉ぢてまたさす薔薇の庭
著莪咲くや地を這ふやうに生きし人
拾ひたる枝の殺陣なり夏野原
いつもある募集広告花は葉に
更衣半ば女はパンが好き
人寄れば静かにはしやぐ金魚かな
度しがたき人類を載せ春の星
当月集より著莪咲くや地を這ふやうに生きし人
拾ひたる枝の殺陣なり夏野原
いつもある募集広告花は葉に
更衣半ば女はパンが好き
人寄れば静かにはしやぐ金魚かな
度しがたき人類を載せ春の星
老人の黄粉に噎せる草の餅
荒井和昭
飛花落花キッチンカーのカレーの香
田村園子
骨格にいささかのずれ菜種梅雨
荒木 甫
白木蓮ふだん目立たぬ奥の家
石田きよし
我が影も桜吹雪の風の色
成田美代
のつたりと加太の夕波雛流し
山口ひろよ
父祖の地のひかりを集め花こぶし
中山皓雪
春の雨矢立初めの碑に
箕輪カオル
手毬麩の浮かぶ塗椀花の宿
平野みち代
積ん読書三減四増菜種梅雨
甕 秀麿
雁供養流木格子に組みて焚く
宇都宮敦子
空振りは承知初花探りをり
坂場章子
閉校を迎ふる校舎あらせいとう
和田紀夫
遠山や電車ホームの花菜風
鎌田光恵
陽炎や逃げる足跡ばかりなり
原田達夫
木蓮の饒舌に酔ふ日中かな
松林依子
初蝶の飛びつつ力つけにけり
山内洋光
管理棟五十番てふ燕の巣
奥井あき
門を掃き新入生待つ老教師
三木千代
露座仏の肩に張りつく花のちり
笠井敦子
田一枚畦の一本櫻かな
田部井幸枝
寒麦集より
カーブミラー覗く親と子花の雲
向山加行
絡み合ふ干し物の袖風光る
五十嵐紀子
強面を遊びに誘ふ揚雲雀
川瀨 康
入学の子の箸置のつくしの絵
土門なの子
釣りの浮き紛れ込ませて花筏
足立良雄
ひと笛で列まつすぐに遠足児
髙橋洋子
竜天に登り烟らすこずゑかな
山本久江
春愁ひ生涯酒量尽きたるか
島田喜郎
羽音抄
階段の固き靴音新社員
五十嵐紀子
鳥雲に奥の細道矢立の地
足立良雄
臍繰りと裏金は似る春の雷
西村とうじ
春障子ぱちんと閉めてお説教
西村将昭
頰に描くピエロの泪鳥の恋
平野みちよ
買ひ占めて配るコロッケ花の昼
松林依子
点滴を曳きて弥生の談話室
山口ひろよ
革靴の尖りも新入社員かな
成田美代
上靴のしづかに響く卒業式
尾川美保子
風凪の若布を晒す砂の照り
鎌田光恵
土砂降りの入学式の笑顔かな
小宮智美
羊の毛刈る人やさし親の如
江波戸ねね
連翹や翹の字去年書けたのに
島田喜郎
看病の手間減りゆくや春告鳥
秋元政子
花束と少しの私物春夕焼
清瀬朱磨
旧字体等で表記できない文字は書き換えています
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