バックナンバー（鴫誌より）
令和６年２月号より
代表近詠
寒麦集より
羽音抄
覗き穴
加藤峰子
江ノ電の軒端すれすれ櫨もみぢ
神の留守板戸に大き覗き穴
冬来る源平分かつ太鼓橋
冬もみぢ薄日さしこむ座禅堂
着水の沼の音響鴨の陣
栗鼠来たり祈る形に木の実食ぶ
走り根の瘤に気骨や冬来る
枯葉掃く疼く記憶も袋詰め
上腕をぷかぷか小春の血圧計
暗闇へ廻す鍵穴十二月
名誉代表近詠
神の留守板戸に大き覗き穴
冬来る源平分かつ太鼓橋
冬もみぢ薄日さしこむ座禅堂
着水の沼の音響鴨の陣
栗鼠来たり祈る形に木の実食ぶ
走り根の瘤に気骨や冬来る
枯葉掃く疼く記憶も袋詰め
上腕をぷかぷか小春の血圧計
暗闇へ廻す鍵穴十二月
お大根
髙橋道子
蔦もみぢ四谷市ヶ谷駅深し
初冬の駅のピアノの「愛は勝つ」
カード翳せばキャオといふ音蜜柑買ふ
侃諤の議論の卓にあれ亀虫
豪然と日を弾きつつ荻枯るも
清貧の母の言葉のお大根
冬の蝶今生の黄を灯しゆく
当月集より初冬の駅のピアノの「愛は勝つ」
カード翳せばキャオといふ音蜜柑買ふ
侃諤の議論の卓にあれ亀虫
豪然と日を弾きつつ荻枯るも
清貧の母の言葉のお大根
冬の蝶今生の黄を灯しゆく
足の痛みけふも戦ひ冬に入る
山﨑靖子
口切りや足の痺れのふがひなし
荒井和昭
朝の息吹きかくる指冬支度
田村園子
良寛と子規の頭と糸瓜かな
荒木 甫
秋の声上がる一途な猛虎愛
石田きよし
秋声や魁夷の碧・蒼・青そして白
成田美代
せうせうと渡る浜風海桐の実
山口ひろよ
吾が骨のカラカラとなる野分かな
中山皓雪
コスモスに自転車あづけ魚釣
箕輪カオル
麺麭に耳蕎麦に腰あり文化の日
平野みち代
順繰りに頭を撫でて文化の日
甕 秀麿
青空に漂うてゐる木守肺
宇都宮敦子
遠離るＡＬＩＣＥのひとり金木犀
坂場章子
杉板に当てる曲尺文化の日
和田紀夫
富士小さく見ゆる峠や草紅葉
鎌田光恵
西はまだあかね色なり後の月
原田達夫
文豪の小さき文机破芭蕉
松林依子
落葉掃き木洩れ日も掃く竹箒
山内洋光
あきつ群れ遠嶺の空の昏むほど
奥井あき
着水のしぶき一斉鴨来たる
三木千代
向ひ風時に追ひ風枯野まで
笠井敦子
ひとりでに先頭にをり実南天
田部井幸枝
寒麦集より
綿虫の漂うてゐる古墳群
西村とうじ
ギャルでした昭和の私冬の虹
宮﨑高根
大仏は歌を忘れて小鳥来る
木澤惠司
鈴も揺れ吊り橋もゆれ冬日和
江波戸ねね
実南天空き巣被害の回覧板
土門なの子
なみだ目と診断されて冬に入る
足立良雄
彼の人の名まへ喉までおでん酒
尾川美保子
紺足袋の足首きゆつと人力車
宮川智子
羽音抄
とつぴんぱらり語部締めて炉火爆ぜて
奥井あき
石臼に曳く新蕎麦のうすみどり
山口ひろよ
神の留守その噓消せるボールペン
中山皓雪
捨つるに惜し夜勤の頃のカーディガン
五十嵐紀子
三行半の遠くなりけり冬桜
松林依子
やせ細る母の手握る十三夜
渥美一志
懐に焼芋入れて父帰る
西村将昭
秋気澄む魁夷の青の絵の具棚
平野みち代
鳶の輪の高く高くと今朝の冬
成田美代
秋澄めり一歩前おく杖の音
尾川美保子
釣瓶落し老人捜すアナウンス
安井和恵
難病の告知さらりと受くる冬
宮﨑髙根
八十路なほ欲深くをり実千両
重廣ゆきこ
テレビの所為焼芋買ひにつくば迄
別人簔虫
使ひ途あれこれたかが柚子一顆
市橋みどり
旧字体等で表記できない文字は書き換えています
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