代表近詠
野の色を
加藤峰子
椅子あまた置く草萌のコーラス会
野の色を顔に映して土筆摘む
手水舎の現世の水を吐く彼岸
屋根と壁塗りて明日への巣箱かな
菊根分け土起こすとき鴉の眼
漲るやS字カーブの芝桜
卒業子するする解く箱リボン
梅東風や酔余の本音聞きそびる
春なれや短冊墨書のかすれ佳し
母の声風に聞くなり諸葛菜
名誉代表近詠
フリージア
橋道子
空の裾こぶし大樹が白尽くす
ふらここを揺らすは風かたましひか
北窓を開けば入りぬパン屋の香
花眼とは言はじ霞の芯にゐて
隠れみち急階段の花吹雪
逃水を追へるだけ追ひものたらず
フリージアや子に諭されてゐて楽し
当月集より
寒麦集より
羽音抄