代表近詠
寒椿
加藤峰子
年玉の礼に知りたる声変り
水仙増ゆ終の棲家の今が好き
切抜きのジェンダー平等春隣る
久女忌や封書を秤る微振動
お札所の禰宜いきいきと初揮毫
飯場より仕事始めのヘルメット
待春の楠の樹皮はがねなり
白鳥の割拠に濁る田水かな
石垣冴ゆ石に文字やら家紋やら
寒椿地に落ち暫し荒呼吸
名誉代表近詠
これから
橋道子
枯荻のうねりに光伸び縮み
二か所ほど鏡文字ある雪便り
いつの間に巨樹失せてをり陽炎へり
視野検査すすむよ温き薄闇に
春装の無難といふはつまらなし
老い合うて痩せ合うてバレンタインチョコ
真夜醒めて計るこれから春の雨
当月集より
寒麦集より
羽音抄