代表近詠
漂着地
加藤峰子
指させり予想の先に浮かぶ鳰
冬かもめ逆さ翔びして餌をくらふ
冬浜に朽ち木ロドリゴ漂着地
冬銀河グランピングのバーベキュー
花時計に針無き不安冬の園
どの墓も冬日に向かひ過疎の村
しぐるるや五層明りの博物館
北風や樹々の力みに点くライト
沈めても浮きくる柚子のはしやぎやう
北風向ふ自立のための前屈み
名誉代表近詠
湯豆腐
橋道子
外つ国へメール一瞬明の春
海側に陽気な雲の初景色
すぐ馴れていとこ同士のはしやぎ初め
読み初めにおろす十倍天眼鏡
北風街道這ひ蹲ふに似る歩み
店奥の寝かしものなる大火鉢
今のいまが夢か湯豆腐ひとゆらぎ
当月集より
寒麦集より
羽音抄