バックナンバー（鴫誌より）
令和５年１月号より
代表近詠
寒麦集より
羽音抄
椿の実
加藤峰子
椿の実はじけ未知へと跳ぶ構へ
先導は笛吹くやうに鳥渡る
雨後の森紙散らすごと白茸
真葛原鬼女のゐさうな葉騒かな
里に嫁迎ふる火とも曼珠沙華
モナリザの微笑み皿の青葡萄
肉詰めていびつを正す唐辛子
秋澄むや首の脈とる指二本
棺へと母若き日の秋衣
馬鈴薯のほろと煮上がる淋しき日
名誉代表近詠
先導は笛吹くやうに鳥渡る
雨後の森紙散らすごと白茸
真葛原鬼女のゐさうな葉騒かな
里に嫁迎ふる火とも曼珠沙華
モナリザの微笑み皿の青葡萄
肉詰めていびつを正す唐辛子
秋澄むや首の脈とる指二本
棺へと母若き日の秋衣
馬鈴薯のほろと煮上がる淋しき日
返り花
髙橋道子
黄落をうながす雨の透きとほる
降り足りし空の深みへ鳩吹かむ
過去形の眼鏡のいくつ十三夜
見えてゐて見えぬこの先返り花
さはやかに頭骨模型かざす女医
神主も巫女も白衣に落葉搔く
スニーカーになれば走るよ七五三
当月集より降り足りし空の深みへ鳩吹かむ
過去形の眼鏡のいくつ十三夜
見えてゐて見えぬこの先返り花
さはやかに頭骨模型かざす女医
神主も巫女も白衣に落葉搔く
スニーカーになれば走るよ七五三
再会に逸る川沿ひ新松子
山﨑靖子
牧閉す馬の甘嚙み叱りつつ
荒井和昭
未だしのコスモス畑去り難く
田村園子
ポケットのマスクしわくちや運動会
荒木 甫
風止みて手持無沙汰の花すすき
石田きよし
あらはなる山肌に聴く秋の声
成田美代
星月夜街角に道ひとつ消ゆ
山口ひろよ
一村に一寺一店柿熟るる
中山皓雪
秋光にまみれ湖辺のキッチンカー
箕輪カオル
割箸の先つぽ菜虫悶へをり
平野みち代
酒蔵と赤蜻蛉と山頭火
甕 秀麿
さきざきを螇蚸が飛んで畦ひらく
宇都宮敦子
城跡に篝火として曼珠沙華
坂場章子
爽籟にかつて登りし嶺思ふ
和田紀夫
猿の来て棚田の案山子祭かな
鎌田光恵
三管の音深川の施餓鬼寺
原田達夫
釣り人をかはして鯊の高く跳ぶ
松林依子
椿の実いびつのままに艶めけり
山内洋光
陰を生み翳に溺るる萩の花
奥井あき
天高し筆字封書の金栞
数長藤代
飛ぶよりも歩くのが好き石たたき
笠井敦子
海に佇つ先客ひとり片時雨
田部井幸枝
寒麦集より
スマホ切り濁世とさらば秋の夜
渥美一志
金木犀ティッシュに包みバスを待つ
三木千代
産土は大字地球星月夜
木澤惠司
待たされて団子いびつや文化祭
尾川美保子
箸取りて爪に残りし生姜の香
江波戸ねね
子のメールまるで電報虚栗
宮﨑髙根
ぬれ縁の小さき白靴赤とんぼ
立花光夫
ＡＩに引き止められて愛の羽根
宮川智子
羽音抄
秋の夜の通知表めく診断書
平野みち代
水際の産卵激し鬼やんま
西村将昭
味深き熟柿のやうに老ゆればと
みたにきみ
八千草の乱るるままを善しとせり
宮﨑髙根
行く秋の送り状二度確認す
川瀨康
表より裏道楽し花梨の実
山内洋光
長き夜や目覚めて探す青い鳥
西嶋久美子
癖になる指差確認杜鵑草
中下澄江
つい撫づるはりねずみてふ丸き菊
尾川美保子
百歳へまだ遊べるぞ菊の酒
足立良雄
決意とは折れやすきもの山の芋
西村とうじ
穭田は地球の髭の剃り残し
山本とう子
酒席派と湯めぐり派ゐて紅葉宿
齊藤哲子
鵙髙音よく食べよく詠みよく忘れ
野口和子
満遍の陽射し浴びせて豆を干す
秋元政子
旧字体等で表記できない文字は書き換えています
Copyright(c)2011, 鴫俳句会.All rights reserved