代表近詠
よろづ医師
加藤峰子
老鶯や古墳に樹影濃きところ
滝壺の蒼シャガールの浮遊感
石楠花や村に赤ひげよろづ医師
索引にほつれ始まる走り梅雨
請はるるたび草笛巧く吹きし考
蟻のぼる博物館の大看板
青野来てモデルのやうに腕を振る
あめんぼう風出て水に粘りゐる
翠州亭の玻璃戸のゆがみ新樹光
きしみては戦火のごとき夕焼雲
名誉代表近詠
ビコーズ
橋道子
みつみつの森の支ふる夏の雲
夏霧や試されてゐるこころざし
読む途中あとがきを読む梅雨滂沱
大揺れのあれは何の樹梅雨夕焼
中庭の鉄のベンチと十薬と
because
といふ語浮き出る昼寝覚
病む不思議癒ゆるふしぎや青山河
当月集より
寒麦集より
羽音抄