代表近詠
濡るる地層
加藤峰子
地層見る冬川に足とられつつ
冬の蜘蛛脇の甘さを吹かれをり
古墳とは駱駝の背ほど冬景色
冬凪や濡るる地層に試掘痕
ノックアウトてふ冬薔薇に会ひにゆく
冬晴や百のテントの陶器市
法被着てぶさた貌なる飾売
霜月や回しつつ盛るスパゲッティ
マフラー手に新会員の長口上
マウスかたかた母置去りの十二月
名誉代表近詠
山眠る
橋道子
漂流す東京駅の数へ日を
畳み皺蒸して伸ばしてショールかな
累代の城主の墓に落葉積む
袋井 四句様
冬霞みつつも稜線くるひなし
ハリーポッター居さうなホテル聖樹の灯
新旧に一村を分け凍つる駅
かぎりなく日を吸込んで山眠る
当月集より
寒麦集より
羽音抄