代表近詠
土偶
加藤峰子
コスモスの会話横向き後向き
トラクターに座らせてある捨案山子
朝霧を吸うて土偶の口肥大
ブルーシートのままの余生や村の秋
台風圏分身のやう腰ラヂオ
秋園の枝にはためく作業シャツ
爽やかや洗顔の水しなふ水
良夜かな南瓜の馬車で逢ひし頃
枝豆の湯気をしづめて持たせけり
百通の投句に百の月宿す
名誉代表近詠
児手柏
橋道子
秋雲のQRコードめく密度
秋湿る万葉園の陶の椅子
爽籟や
児手柏
のみどりの掌
椎茸の七つを干して不義理せり
星飛ぶに優先順といふは無し
有明やまだ冗談を夢の兄
秋惜しむ石段に杖遊ばせて
当月集より
寒麦集より
羽音抄