鴫

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平成30年6月号より
代表近詠
パソコン
橋道子
思ひきり雲を吐きつつ山笑ふ
荒鋤きの田を貫きて春の川
春場所のはねてふくらむ人のこゑ
橋づめに里程元標跡うらら
鷹鳩と化し高階の保育園
そのかみの隆起まざまざ花の城
連翹の雨や苦手な初対面
葉桜やはじめて入るブックカフェ
おぼろ夜の推理ドラマの筋に無理
パソコンのことパソコンに聞く春夜
当月集より

雛仕舞ふひと言がふと声に出て
山ア靖子
置石を囲んでゐたる踊子草
荒井和昭
梅の香の繋ぐ野点の席と池
田村園子
大声に公園塞ぐ剪定車
田令子
夫亡くば微熱のやうに草青む
加藤峰子
確定申告シンプルライフそのままに
相良牧人
たんぽぽ黄兜太戛戛逝きにけり
荒木 甫
初蝶や坪畑の鍬休ませる
石田きよし
春光の満ちをり樹々の声満ちて
成田美代
花鳥と同席しばしカフェの椅子
山口ひろよ
下萌えを踏みしめ自分失はず
中山皓雪
春光の草加松原橋いくつ
箕輪カオル
春の雪さうかさうかと夢の父
平野みち代
良縁を撮りてエールを春の宴
甕 秀麿
木洩れ日を拾ひて白し節分草
宇都宮敦子
金閣寺焼く炎さながら野火のごと
山本無蓋
泥の田の泥の色にて初蛙
坂場章子
草の餅買ふに渡しの舟を待つ
田原陽子
週一の一錠三月はじめから
数長藤代
芹萌えて水皓皓と流るなり
原田達夫
三椏や夢に出てくる迷ひ道
笠井敦子
木更津海苔高き香りを炙りけり
田部井幸枝
救急車の中の問答冴返る
齋藤厚子

寒麦集より

つばくらの掠め捕りたる光かな
中島芳郎
シャボン玉割れても夢はのぼりゆく
山内洋光
自づから笑みわき出づる春の風
堀岡せつこ
病む人に安堵もらひぬ蕗のたう
松林依子
建立の謂れに津波いぬふぐり
和田紀夫
淡彩の点描めきて山芽吹く
藤沢秀永
植木市うしろ前なる野球帽
宮ア根
啓蟄の人垣河馬の乱杭歯
奥井あき
沈黙はひとつの答黄水仙
佐藤晶子
芽鱗落ち春の装置の動き出す
岩本紀子

羽音抄

悔い先に立たずひよつくりふきのたう
箕輪カオル
朧野に浮く遠山もまた朧
成田美代
鍵かけてノブを引く癖霾ぐもり
坂場章子
背の丸き我は長男春炬燵
濱上こういち
バンダナの卑弥呼の立てる春の丘
甕 秀麿
鏡越しに喋る床屋や桜草
鎌田光恵
解禁を待つ海女たちのティータイム
和田紀夫
藁苞の淡路結びを冬牡丹
来海雅子
荷風忌や花三椏の生絹色
奥井あき
病みし姉めでたく逝きて梅ひらく
石田きよし
おれおれと倅ささやく万愚節
中島芳郎
船通学終りて島の卒業生
三木千代
菜の花や沖をゆく司馬遼太郎
鈴木征四
眼鏡耳輪耳輪はづしてのマスク
田部井幸枝
梅真しろ引き算の世を生きてきて
山本無蓋
春夕焼石船のいま入港す
遠山みち子
北窓を開き「イマジン」聴きにけり
木澤惠司
白木蓮ぐらりほどける雨後の朝
中下澄江
菜の花やラリーの緩き庭球場
西村とうじ
卒倒のくせ持つ雛のかこち顔
津久井佳江


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