平成28年12月号より
代表近詠
黄落
井上信子
黄落のはじめや太き櫻の木
幹黒し櫻紅葉の朝じめり
鵙が来てやや大荒れといふ予報
朝の鵙それよりのこと急がるる
地境に降る月明り人の声
小春日のあなたはいつも祥月命日
読まず書かず誰も来ぬ日の柚子一つ
選者近詠
その味
橋道子
あをぐろき雲に暮れゆく踊唄
変つたやうな変らぬやうなと生身魂
秋の海死者より遠くなりし人
秋草へ蛍光色のスニーカー
ディオールの小袋に受く紅鬼灯
その味を白と言ふべし新豆腐
悼風間史子さん
花野原唐突に翳なせりけり
当月集より
寒麦集より
羽音抄
旧字体等で表記できない文字は書き換えています
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