平成27年8月号より
代表近詠
若葉風
井上信子
若葉風最晩年をよぎりたる
葉桜や息災とのみ聞きゐしが
去りたれば声よみがへる青葉風
ががんぼの幾夜か経たる息をせる
待つことの専らなりけり蜘蛛に息
揚羽蝶昏々と土睡らする
息災と聞く紫陽花の夕べかな
選者近詠
着信
橋道子
伐りし木をしばらく寝かす夕薄暑
この黄こそ波郷の詠みし金雀枝か
うさぎ波子もその嫁も裸足好き
海の駅の他がらんどう浜五月
浜風や粘り出るまで鯵たたく
着信を風鈴の音に設定す
悼小林正史さん
ぬくかりし津田沼までの語らひも
当月集より
寒麦集より
羽音抄
旧字体等で表記できない文字は書き換えています
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