Shigi-haikukai
TOP
鴫のあゆみ
鴫誌より
句会案内
バックナンバー(鴫誌より)
鴫誌より(最新号)へ
バックナンバー(一覧)へ
平成27年4月号より
代表近詠
濤音
井上信子
春めくや久しく濤の音聞かず
石段の迫りて急に實朝忌
三月菜遠く眺めて引返へす
人去りて椿大樹の照りまさる
春日や坂の一軒長き留守
留守の家に留守のこゑする春の暮
師も我もただ若かりし春の雪
▲このページの先頭へ
選者近詠
四阿
橋道子
太箸や見届けられぬものばかり
つつしみて受く縄跳の子の御慶
大根煮て心澄ませてゐるところ
四阿に声のくぐもる寒四郎
新しきいつもの暮し小豆粥
「冬籠届」を出せるものならば
愛さるるごとくマフラー二重巻き
▲このページの先頭へ
当月集より
行き先云はず安房白浜の花摘みに
中江月鈴子
熱燗やしづかに老いとにらめつこ
山ア靖子
一月の指笛えいさあ我も入る
荒井和昭
書かざれば貧し山茶花咲けばなほ
風間史子
雪吊の傘の内なる抹茶席
田村園子
枝先に御降りの雪残りけり
田令子
杖の手を大樹に当てて初詣
加藤峰子
年賀状羊百態睡くなる
相良牧人
ダウンジャケット貨車四十輌遠ざかる
荒木 甫
師の賀状切れのよき句を目差せとぞ
石田きよし
旭光を纏ふ新雪踏み出せず
成田美代
怖づおづと用なき電話雪もよひ
山口ひろよ
炉話の中心となる煙管かな
中山皓雪
大寒の手に包みたるティーカップ
箕輪カオル
若水を豊かに掬ひ存へむ
田原陽子
川の気のとどく碑淑気満つ
数長藤代
初春のまろき月出てはやひとり
折橋綾子
わが冷えし手の央ほのと温みもつ
椿 和枝
初富士や意外とぬくき牛の角
佐藤山人
物語あり一尺幅の置炬燵
原田達夫
悴みて他人の声になつてをり
笠井敦子
本年はよんどころなく寝正月
山本無蓋
初ひかり分厚き雲の錦為す
田部井幸枝
クリスマスツリーの素朴見当たらず
齋藤厚子
▲このページの先頭へ
寒麦集より
億劫な場所のストーブ出しにけり
森田尚宏
揺るぎなくいつもの窓に初日出づ
中島芳郎
産土の雪漕ぐ父の歩幅かな
山本久江
食積のひとつは郷のひたし豆
山内洋光
角生えてゐるやも知れず初鏡
宇都宮敦子
別腹にゆとりありさう女正月
足立良雄
氏神に祈願の子らのちやんちやんこ
堀岡せつこ
書き癖の似てはらからの年賀状
坂場章子
その枝が好きか寒禽日毎来る
岩本紀子
たこ焼の味を教はる小正月
田中涼平
▲このページの先頭へ
羽音抄
冬の川黙てふ力もて下る
甕 秀麿
清貧に彩ありとせば冬青草
江澤弘子
故郷や準ふるさとも雪時雨
来海雅子
生くる謎沼の底ひに枯蓮
石田きよし
初春の嬰はまるごと輝きぬ
奥井あき
つぎつぎに風育てゐし冬柏
森田尚宏
鰤半身割いてはらから揃ひけり
荒木 甫
寒晴や匙に刮げしやうな富士
坂場章子
酒過ぎて牡蠣鍋奉行の任解かる
村 卯
滝凍てて鼓膜の奥も凍てにけり
藤沢秀永
知足とは七草粥の白さかな
濱上こういち
味噌樽の箍いかめしき寒の入
佐藤山人
ビルー棟鏡となりぬ寒夕焼
松林依子
茎清を酒のさかなに蕪村の忌
中島芳郎
蛍雪やルーペの中の鬱のぞく
中山皓雪
寒晴の逃げ遅れたる小さき雲
西村将昭
相好を崩す父なし小豆粥
五十嵐紀子
飾らるる羽子板空の恋しからん
大島節子
初春を迎ふるミイラ五千回
木澤惠司
一月の風を流して隅田川
太田英子
鴫誌より(最新号)へ
バックナンバー(一覧)へ
▲このページの先頭へ
旧字体等で表記できない文字は書き換えています
Copyright(c)2011, 鴫俳句会.All rights reserved