鴫

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平成27年1月号より
代表近詠
竹林の
井上信子
竹林の辺りや秋のすすむらし
尾花露草弟が待つてをり
山遠く見ゆると言ひぬ小鳥来て
安静へ十一月の白いカーテン
露けしやニツに折りて長梯子
海はそこ山そこに秋日差
月の出と夜雲のはやし帰らねば
選者近詠
平仄
橋道子
秋雲の三片や高さそれぞれに
ピラカンサ了解に似る朱の極み
長き夜の最後に田辺聖子かな
金木犀二度咲く今年尊べり
草虱もらひつ下る墓の山
蓮の実の飛ぶに平仄なかりけり
ぱれ
すてん晴とは浦安の天高し

当月集より

どしやぶりの寒の烏の一声す
中江月鈴子
桐は実にほど良き風に抱かれて
山ア靖子
弥次郎兵衛のどんぐり拾ひもて余す
荒井和昭
秋の虹束の間に消え飢餓に似る
風間史子
爽やかやルーペにもなるペンダント
田村園子
落葉踏む爪先の陽を浴びながら
小林正史
秋夕焼支川の橋の緩やかに
田令子
灯火親し読み切るまでを前のめり
加藤峰子
中天に挿話のやうな十三夜
相良牧人
きちきちの一難あれば跳ぶ構へ
荒木 甫
水底に里帰りめく木の実かな
石田きよし
黒葡萄山また山に日の当たり
成田美代
色鳥来駅長ひとりだけの駅
山口ひろよ
野宿重ねし冬瓜の独り言
田原陽子
金風忌利根の大橋らくらくと
数長藤代
妻に髭子に墨のひげ星まつり
中山皓雪
耳ほじりながら読む本夜長かな
折橋綾子
流鏑馬の高的の立つ秋天下
椿 和枝
行く秋やとことん迄は酔へぬ齢
佐藤山人
燃え尽きて未だに怪し狐花
原田達夫
投入れの深山りんだう山の宿
笠井敦子
秋高し乗り放題の途中下車
山本無蓋
雲行きに見せばやの鉢仕舞ひけり
田部井幸枝
十月の避難袋にチョコレート
齋藤厚子

寒麦集より

能面はわづか口開く新走
箕輪カオル
椋鳥の飛び出してくるサキソフォン
和田紀夫
星の数かぞへてゐたり捨案山子
甕 秀麿
老人も大志を抱け新松子
宮ア根
手枕のしびれてゐたる夜長かな
森田尚宏
草の絮こぞりて浜に着きにけり
鎌田光恵
腕章に研修生の捨案山子
足立良雄
秋天や自づと高き杖の音
中島芳郎
生きものの騒めきにはか野分晴
松林依子
亡き夫の恋文を読む夜長かな
堀岡せつこ

羽音抄

常しへの大胡坐なり陸奥の藁塚
山□ひろよ
合同も相似も無くて榠櫖の実
坂場章子
秋雲を両手で測る建築士
田令子
誰がための祈り秋蝶合掌す
松林依子
つれあひとついばむやうに炒零余子
荒木 甫
騙し絵展出づれば釣瓶落しかな
原田達夫
邂逅に似て木犀のなかにをり
藤沢秀永
踏ん切りは風の一押し鳳仙花
三木千代
秋日差水をゆらして天井画
来海雅子
自然署の総身箱に寝かさるる
五十嵐紀子
退屈な夫怒らせてとろろ飯
齊藤哲子
風なきに色を乱して秋桜
森田尚宏
時として決断変へる鬼やんま
笠井敦子
ものを書く姿に枝垂れて実むらさき
甕 秀麿
途中下車のやうに十月病んでをり
江澤弘子
手づくりのメダルを掛けて体育祭
鎌田光恵
おもんみる神の絵ごころ鰯雲
村上すみ子
ゑのころを手に二三本髭をとこ
佐々木秀子
手が延びて胸許に受く赤い羽根
堀岡せつこ
終活の一環として木賊刈る
斎藤房枝


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