鴫

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平成26年4月号より
代表近詠
遠くより
井上信子
春立つや朝をうるみて川向ふ
鳩が来て夕鴉きて残る雪
お隣りのご不在ながし桃の花
桃一りんまた月曜のめぐり来て
長雨の予報菜飯を炊かむかな
飯台の大きすぎたる菜飯かな
春菊の水切る遥かまでにほふ
かすみ草遠くより風浪のこゑ
当月集より

散る梅も咲く梅もあり来世も
中江月鈴子
面白の年迎ふべく渚ゆく
山ア靖子
新しきやはらかき名を太箸に
橋道子
初鶏は土よりの声遠からぬ
中村恭子
化かされに王子の狐見にゆかな
荒井和昭
睡さうにかかれり冬の三ツ日月
風間史子
沼面にもある寒月の通り道
田村園子
歳晩やしつかり磨くフライパン
小林正史
星冴ゆる運河を望む段丘に
田令子
冬ばらを活け病室を真つ赤にす
加藤峰子
毛糸巻く租母に預けし腕かな
相良牧人
雪蛍あの世この世のあはひより
荒木 甫
趣味三つ病気一つのおらが春
石田きよし
枝先にすだく朝日や初スキー
成田美代
パソコンにリオデジャネイロより御慶
山口ひろよ
白足袋の小鉤きちりと決まりけり
田原陽子
三日かなみんな帰したくもり空
数長藤代
初明り先づは未完の自画像に
中山皓雪
揺らぐ歯におそるおそるとごまめかな
折橋綾子
波と雲荘厳に染む初茜
椿 和枝
女正月肴は笑ひ茸なるか
佐藤山人
年の夜の闇それぞれの醸す鐘
原田達夫
SLの息急き切つてくる雪野
笠井敦子
けふ大師あす観音と梅探る
山本無蓋

寒麦集より

制服のままスケートの女学生
坂場章子
と見かう見しばし無言の寒鴉
久米なるを
宿酔や前倒しする七日粥
藤沢秀永
着水の音たてて鴨初景色
佐々木秀子
ロボットに掃除を任せ初買に
村 卯
三世代丸顔なりし福寿草
宮ア根
水甕の並び伏せられ初箒
齋藤厚子
前に立ち後ろに従きて恵方道
来海雅子
合掌のための両の手初茜
平野みち代
正面の遥か堤防冬田道
田部井幸枝

羽音抄

青空をどんと据ゑたる樹氷林
江澤弘子
風花の還らんとする仕草かな
藤兼静子
初御空富士より伊吹まで真青
石田きよし
散髪へ九十九歳の冬帽子
坂場章子
かくてまた神にご無理を初詣
中島芳郎
青桐の裸木青を帯びて立つ
来海雅子
ぬつと来て主に移す初笑
田部井幸枝
刷毛塗りのごとく張りたる薄氷
山本久江
マネキンの頭に戻す冬帽子
足立良雄
鯛焼の部活帰りの頃の味
山本無蓋
目線きにお年玉渡しけり
青山正生
万の枝交して櫻冬芽かな
森田尚宏
凍豆腐乾ぶや星の瞬きに
笠井敦子
丸き背国旗掲揚して御慶
中山皓雪
マスクより声や全く見逸れゐし
村上すみ子
獅子舞のカメラを噛んでしまひけり
鎌田光恵
背徳のかをりなりけり冬の薔薇
和田紀夫
歌留多会とことん訛消えぬ父
久米なるを
わけもなく潰してみたし霜柱
橋信一
寒鯉の動かぬまゝに育ちをる
伍島 繁


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