代表近詠
野の目覚め
加藤峰子
強霜の光となるや野の目覚め
裸木の枝しなやかに触るる空
日の粒の零れこぼしてミモザ咲く
しめやかに且つしたたかに春の雪
明日咲く木蓮に向け椅子を置く
地を揺する重機五台や鳥雲に
みづら結ふ埴輪の貌やうららけし
勾玉に錆色の筋冴返る
MRI入る春愁の洞の闇
壇上に熱気の渦や卒園歌
名誉代表近詠
歩行器
橋道子
逢ふための歩行器軽し梅真白
春ならひ屋台横丁準備中
スリッパのタータンチェック春愁
花ミモザ赤子がむつかしい顔を
既視感のなかの既視感おぼろ月
伐りすぎるほど剪定の好きな人
淡雪や鼻梁たしかに男病む
当月集より
寒麦集より
羽音抄