平成28年9月号より
代表近詠
夏深し
井上信子
八月や風車のごとく鴉来て
夏深し鴉親しき振りをせる
朝日まづ湯殿を射して夏深し
皆旅にをり青芝にあまねき日
擬宝珠の花の念念風こもる
音立ててをりし擬宝珠の花終る
夏終る一筆箋の便りして
選者近詠
耳目
橋道子
草の葉に草の葉色のこがねむし
働いて明るき寡黙梅青し
心配をたがひに言はずさくらんぼ
青木賊わたしの耳目研いでおくれ
忍野八海方面三句
闇抜けて来し流水に夏の音
橡の花底のつながる池と池
同室の密度にさらす素足かな
当月集より
寒麦集より
羽音抄
旧字体等で表記できない文字は書き換えています
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